食料自給率を簡単に上げる方法?

−我が国の食生活の大きな変化−

  1. 我が国の食料自給率が低下した主な原因は、長期的には、我々日本人の食生活の大きな変化と考えられます。
  2. 1人1年当たりの供給純食料で見ると、ほぼ昭和40年間に、米の消費量がほぼ半分になったのに対し、肉類は5倍、油脂類は3倍と大幅に増加しています

  - 米の消費量の減少(戦後のピーク時の1/2)
     1人1年当たり 118.3kg(昭和37年度)⇒61.9kg(平成15年度)
  - 肉類の消費の増加(約5倍に増加)
     1人1年当たり 5.2kg(昭和35年度)⇒15.0kg(昭和15年度)

  資料:農林水産省「食料需給表」

自給率はなぜこんなに食料自給率が下がってきたのですか - e-shokuiku.com

 カロリーベース自給率が、昭和40年73%から平成10年40%まで低下してきたのは、結局食料の需要と供給のミスマッチが原因ではないでしょうか。

 平成18年度自給率を見ると、米(100%)、野菜類(79%)、卵(95%)、魚(59%)など日本人古来の食生活をする分には、比較的自給できています。しかし、近年の欧米化した食生活に対しては自給できていないというわけです。つまり農業は、マーケットの変調にたいして適応できなかったのです。もしかするとマーケットの状況を調査するという概念がなかったのかも知れません。

 食生活の欧米化という観点では、パン食、肉類消費の増加が挙げられます。それに分類される品目における平成18年度の自給率は、小麦(13%)、牛肉(43%)、豚(52%)、鶏(52%)、植物性油脂(3%)、動物性油脂(74%)になっていて全体的に水準が低いです。ここからは、パンの原料である小麦の供給が少ないという以外に、カロリーベースでの計算に影響が高い肉類、油脂類の自給率が低いことがわかります。さらに、肉類には、自給率に貢献しにくい理由があります。

 カロリーベースの食料自給率を見る上で注意を要するのが畜産物の取扱いです。我が国において、畜産物は農業総生産額の25.8%(平成15年度現在)を占める重要な農業生産分野ですが、とうもろこし等の飼料により国内で育成された分については、厳密には自給とは言えません。


 従って、畜産物については、国産であっても飼料を自給している部分しかカロリーベースの自給率には算入しないこととしています。


 例えば、豚肉自体の品目別自給率は53%ですが、このうち自給飼料によって生産された豚肉の国産熱量は、豚の飼料自給率9.7%を乗じて算出されるため、結果的にカロリーベースの食料自給率の計算上用いる豚肉のカロリーベースの自給率は5%となります。


食料自給率とは何ですか - e-shokuiku.com

 これらの情報から導かれるのは、カロリーベース食料自給率を上げるためには、肉類の生産にてこ入れを行べきだということです。飼料を国産で賄えばさらに効率が高まります。飼料にはコンビニなどからでた食品廃棄物から作られた配合飼料を利用すればどうでしょう。食品廃棄物問題解決に貢献し、食料自給率も上げる一石二鳥のアイディアです。実際に飼料化センターのようなビジネスが既に立ち上がっています。

 ところがどういうわけか、不足している肉類の供給を増やすという話より、完全に充足している米の増産へと国政は傾斜しています。国政としては、食料自給率の低下より、米作農家への支援のほうが大事のようです。