食料自給率は本当に低いのか

 日本の食料自給率が低すぎるという議論があります。カロリーベースの食料自給率は、平成15年度において40%ですが、この数字だけを見ると確かに低すぎるという感覚が湧きます。しかし物事を感覚だけで判断するのは危険ですので、まずは、40%というのがどのような計算に導きだされたのかを調べてみました。

財団法人 食生活情報サービスセンターが運営しているサイトがくわしいです。
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それによると、カロリーベースの食料自給率の計算式は以下のようです。

国民一人一日あたり国産熱量[1029kcal] / 国民一人一日あたり供給熱量[2588kcal] X 100

 国民一人一日あたり国産熱量や同じ供給熱量がどのように導きだされたのかも、調査してみましたが、今のところ情報が見当たりませんでした。わたしの想像ですが、〜供給熱量というのは、何らかの分子から日本国民全員に供給されるべきカロリーとしてはじきだされたのでしょう。H20年度の日本人の平均年齢が約44歳であることを考えると 2588kcal というのは少し高めの水準に設定されているように感じます。

 仮に〜供給熱量を2300kcal に設定してみましょう。するとたちまちカロリーベース食料自給率は45%になります。45% が十分高い数字だと云うつもりはないですし、2300kcal こそが本当の数字だと示すつもりはないですが、分子と分母を少しいじっただけで、数字が影響をうけてしまうことがわかります。

一口に食料自給率と言ってもその示し方は複数あり、それぞれに特徴があるため、食料自給率を用いて国内の食料消費や農業生産に対する評価を行う場合には、カロリーベースの食料自給率だけでなく、品目別自給率穀物自給率、生産額ベースの食料自給率の各指標を組み合わせて示すことも必要です。

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 このように、このカロリーベース食料自給率は、ショッキングな数字に見えるので、この数字を土台に議論されがちですが、それ以外の要素も踏まえて考えたほうがよいようです。