本業にIT化インセンティブがないとコトが進まない

Tech Mom from Silicon Valley に興味深いエントリが追加されています。
カイザーという医療サービスで利用されているコンピュータシステムに関するエントリで、それはそれとして興味深い話ですが、IT化を提案する立場として下記の部分が気になりました。

もう一つの点だが、カイザーは別にIT化のためにこのようなモデルになったのではなく、もともと成り立ちからして「会費制病院」(船員組合の 病院が発祥だったと記憶)という形態だったので、IT化のインセンティブが強かった。どこまで行っても、しっぽが犬を振り回すことはできない。IT事業者側がいくら騒いでも、本業のビジネスモデルから発する強い「IT化インセンティブ」がないとコトは進まない。強調したかったのは、この点である。いくら回線の速度を上げても、立派なITシステムを提案しても、肝心の本業がそれを必要としていない人には必要ないのである。

なお、「ウェブ対応はコンピューター・リテラシーの低い人にはかえって面倒?」というコメントをいただいたが、患者とのインターフェースは基本は普通の病院と全く同じ。注意事項はプリントアウトして紙で渡すし、電話でのアポイントもあり、ただウェブを使いたい人にはそのオプションもある、ということである。


カイザーの話、追記::Tech Mom from Silicon Valley

ボールド部分についてまったく同意だと思いました。
また、第2パラグラフにも良いテーマが読み取れます。というのは、業務プロセスを全てシステム化させる必要はないのだということ。これをやってしまうと、たとえば「コンピューター・リテラシーの低い人」のような従来の顧客に不利益をあたえてしまいます。システム提供者は、すべてをシステム化したい、合理化したいという誘惑に駆られるものですが、それを踏みとどまって、既存の顧客に違和感を抱かせずに、有効かつ必要最小限の部分をシステム化ことが重要なのだと思います。