日本が世界と勝負できるポイントは変態力


"はやぶさ"の快挙

 探査機はやぶさの快挙について、上のような動画が公開されています。
 ”はやぶさ”は、小惑星イトカワに向かい、地球に帰還する道のりにおいて、様々なトラブルに見舞われますが、あらゆる障害を予見した設計の確かさと献身的なスタッフの努力によって、ピンチを乗り越えていきます。
 動画を見ていただければわかりますが、そのプロセスは凄いの一言。まるでハリウッド映画のような鮮やかさで、苦難をクリアする様子は、現実の話とはとても思えないほどです。

スタッフの限界を超えた努力が成功を呼び込んだ

 この成果を呼び寄せたのは、スタッフの異常なまでのがんばりであるには違いなく、ネットの住人たちは、スタッフをたたえて、「変態」と表現しています。この言葉は揶揄ではなく、人間の通常の能力を越えた努力をたたえた表現といえます。
 もし、スタッフの経済的な恩恵や多大な名誉を期待した結果がこの成功なのであれば、かれらも「変態」とまでは呼ばないでしょう。しかし、日本での宇宙開発はとても高い評価を得ているとはいえず、スタッフが経済的に報われているとも思えません。実際、"はやぶさ"がかつて消息をたったときのマスコミの報道は冷たいものでした。
 にもかかわらず、現世利益の希求とは異なる次元で、スタッフたちは限界を超えた情熱・努力を”はやぶさ”に注ぎました。そして栄光の女神を振り向かせることに成功したのです!

損得を越えた執着を発揮する力=「変態力」

 この様子を見て、見返りを求めないこの献身は、日本人の美質ではないかと私は思いました。趣味的ともいえる異常な、損得をも考えないあきらめの悪さは、西洋的な価値観からすれば、欠点だと評価されるのかもしれません。しかし、多かれ少なかれ日本人が持っている特質なのではないでしょうか。損得を越えた執着を発揮する力を「変態力」と私は定義します。
 もしかしたら、最近の日本の停滞は、努力に対して見返りを求めるあまり、この「変態的」なこだわりを失ってしまったからではないでしょうか。たしかに稼動を投入することに対して、損得を考えることは重要です。しかし、繰り返しますが、日本人の特質は「変態さ」にあります。この「変態力」を磨けば、"はやぶさ"のような達成を再び得られるのではないでしょうか。*1他者への媚を捨てて、自分が正しいと思うことに損得を越えて集中すれば、小ざかしいマーケティングを凌駕できるのではないでしょうか。かなり極端な言い切りになりましたが、日本人にとってのフロンティアはそのような場所にしか無くなってしまっているのでしょう。

スタッフへの労いと感謝

 JAXAの皆さん、本当にご苦労さまでした。感動をありがとうございました。ぜひ、寄付したいので、なんらかの方法を開発してくれるとうれしいです。グッズ購入でお金を落とすにも、よいグッズがないのよ・・・(H2Aの携帯ストラップがギリギリ許容できるレベルでした)とにかく、スタッフはよく頑張ったと思います!(偉そう)

*1:「変態力」は見返りを求めたら発揮できないので、逆説的な話ではありますが